こんにちは。看護師あんこです。
ICUで働く看護師は一般病棟とどんな違いがあるのでしょうか。
看護師として急性期を学びたい、救急対応が出来るよう技術や知識を身につけたい方も多いと思います。
ICU看護師が働く環境はどのような所なのでしょうか。
ICUとは、Intensive Care Unitの略で、集中治療室の事を指し24時間管理が必要な重症患者さんをケアします。現在は、専門性が高い集中治療室も設置されるようになりましたが、ICUは疾患を問わず患者さんを受け入れ治療を行なっていく場所です。
ICU看護師としての役割・必要な能力
・総合的なアセスメント能力
ICUでは一般病棟と比べて急性期で重篤な患者さんを看ます。その為、集中的な医療を提供する場所であり、様々な機器やドレーンなどにより管理されている患者さんが多くいます。その為、身体の状態を観察し、機器に反映されるデータと共に総合的に全身状態をアセスメントしていく力が求められ、患者の側で常時モニタリングを行う役割を担います。
・リスク管理能力
もし、アセスメントにて異常な兆候が見られた場合、その急変に対して対応していく能力も求められます。患者さんは重篤なケースが多いため、意識不明、発語が出来ない、会話成立不可など、話せない・コミュニケーションが取れない患者さんがほとんどです。その為、客観的な観察データに基づいて判断していくことが重要となります。
・機器の取り扱い能力
実際に使用されている機械・チューブ類は人工呼吸器、心電図モニター、酸素、吸引、ドレーン、ウロ、胃瘻、シリンジポンプなどが必要なケースが多いです。
・急患・入院の受け入れ
ICUでは急性期の患者さんが多いため、救急車で運ばれてきた患者さんを受け入れ、治療を行って行きます。救急隊と病院での受け入れ対応は救急外来にて対応が行われ、ICU看護師へ申し送りがありましたが、ICU看護師は救急外来から送られる情報を的確に把握し、ICUに入ってからやるべき対応・処置・検査、医師への確認事項などを把握して、ICUで行います。
・アナムネ・家族対応
急患が入院する毎に対応するのが、アナムネです。
アナムネとは、anamnese(アナムネーゼ)の略。意味は既往歴や病歴を指す医療用語です。看護師は受け入れ患者さんの家族背景や病状、内服薬、key person、連絡先などの情報をご家族から情報収集を行い、承諾書などにもサインを頂きます。これらの情報は入院時の治療の際に重要な情報となります。
患者さんの個人的な情報を含むため、家族によっては嫌がるご家族もいらっしゃいます。しかし、患者さん自身の治療に重要な役割を果たすため、ご家族に説明をした上で、聞くべき情報は確実に聴取していく必要があります。
・エンゼルケア
ICUは急変のリスクが高い患者さんを看ていくため、残念ながら救えなかった命もあります。その際は動揺する家族さんのケアや逝去された場合エンゼルケア、必要時には葬儀屋さんとの連携、病院からの送り出しも行います。これらICU看護師として特殊な役割に加え、一般病棟と同じく処置や褥瘡予防、口腔ケアなどの役割もあります。
また、ご家族の面会の際は患者さんがどのような状態にあるのか(改善傾向なのか。悪化した兆候はあるのか、状況は変わらないのかなど)説明する役割も担います。ご家族が医師との面談を望んでいる際には、調整役をすることもあります。
・申し送り
ICUに入る患者さんは、状態が不安定な為ICUに入りますが、状態が改善して安定すると一般病棟に入る患者さんもいます。入院の受入と共に、他科への送り出しをすることもあり、申し送りを受けること、申し送ることも重要な役割となります。
某日:1日のスケジュール
8:30-8:45頃〜 点滴、ルート準備
9:00 始業/全体申し送り・朝礼
9:00過ぎ〜 受け持ち患者の申し送り
9:15-30〜 検温・ルート交換・点滴・記録
10:30- 検査出し
11:00- 検温・記録
12:00-13:00 看護師のお昼
*必要時、患者の食事介助
13:00- 検温・記録
14:00- 医師の診察(ラウンド)
15:00- 検温・記録・オペ出し・処置
17:00- 検温・記録・夕食
17:45- 夜勤看護師への申し送り
*18:00終業ですが、終わっていない看護師の業務があれば、業務が終わった看護師から手伝います。
私が働いていた病院の面会時間は午後の15:00-17:00のみでした。
最初の印象では、面会時間の幅が少ないと感じましたが、実際に現場で働いてみると理由が分かりました。
午前は状態確認や点滴、記録、検査などを行うとあっという間に時間が経ってしまうのです。この状態で家族対応は難しく、お見舞いに来たご家族も穏やかに過ごせないのではないかと感じます。また。午前中の内に出来る処置なども前倒しで行い、ご家族の面会に穏やかに過ごせるよう心掛けました。
ICUでの面会時間は約15分程でお願いしています。
ICUでは患者さんが重症度が重く、外部からの刺激や音などにより患者さんに負担・ストレスをかけないためです。また、外からの感染源のリスクを減らすためでもあります。
ICUへの入室は基本的にご家族のみとされています。ただ、私が勤めていた病院では、患者さん本人とコミュニケーションが取れれば、患者さんに入室許可する人を聞き、ご本人の意向に沿って入室を許可していました。例えば、家族以外の恋人や知人などの方を入室許可する場合、個人の名前を聞き、面会に来られた際は名前を随時確認し、入室許可の欄に名前が記載されていれば面会OKとしていました。
一般病棟でも同様かと思いますが、ICUへお見舞いに行く際も、患者さんの状況を知る家族などに情報を得てからお見舞いに行った方が良いでしょう。特にICU患者さんは重篤なケースが多いため、短期間の内に状態も変わりますし、重篤なケース程身動きが取れないと顔や身体が浮腫んだり、機器やチューブが繋がっていたりします。患者さんはこのような姿を見られたくないという心理も働きます。
患者さんの回復状態や良いコンディションの状態の時にお見舞いに行った方が良いケースもありますので、タイミングを考えた方が患者さんを尊重したお見舞いになることもあります。